厳しい寒さが続く冬の朝、出勤しようと車に乗り込みエンジンをかけようとしたら、いつもはスムーズにかかるはずのエンジンが沈黙を保ち、イモビライザーの警告灯が不穏に点滅しているというトラブルは、特に気温が氷点下になるような寒冷地においては決して珍しいことではありません。自動車の電子部品は一般的に過酷な温度環境にも耐えられるように設計されていますが、極度の低温下ではバッテリーの電圧が急激に低下してしまったり、スマートキーに内蔵されているリチウム電池の性能が一時的に落ちてしまったりすることで、イモビライザーシステムに必要な電力が供給されず、通信エラーや認証失敗を引き起こすことがあるからです。特に寒さに弱いのは電池類であり、スマートキーを冷え切った車内に置きっぱなしにしていたり、外気温と同じくらい冷えた鞄の中に入れていたりすると、電池残量が十分あるはずなのに電圧不足で電波が飛ばず、車側が鍵を認識できないという事態が発生します。このようなトラブルを防ぐための対策として、まずスマートキーはなるべく暖かい室内で保管し、外出時も冷たい外気にさらされる鞄の外ポケットなどではなく、体温が伝わるコートの内ポケットなどに入れて持ち歩くことで、電池の性能低下を防ぐことができます。また、車両側のバッテリーも寒さで弱っている可能性が高いため、本格的な冬が来る前にバッテリーの点検や交換を行っておくことは基本中の基本であり、電圧が安定していればイモビライザーだけでなくエンジンの始動性そのものも向上します。もし実際に凍えるような朝にエンジンがかからなくなってしまった場合は、焦って何度もスタートボタンを連打するのではなく、まずはスマートキーを手で温めてみたり、スマートキーのロゴ部分や先端をスタートボタンに密着させるようにして緊急始動モードを試みたりすることで、微弱な電力でもID認証が成功しエンジンがかかることがあります。さらに、車内に後付けの電装品やLED照明などを多用している場合、低温による電圧降下の影響をより受けやすくなり、イモビライザーユニットへの供給電圧が不安定になる原因ともなり得るため、冬場は不要な電装品の電源を切っておくなどの配慮も有効です。
寒冷地でのイモビライザー誤作動を防ぐ知識