オートロックのマンションで、鍵を持たずに外に出てしまい、締め出されてしまった。そんな緊急事態に、多くの人が、真っ先に思い浮かべるのが、「管理会社に連絡すれば、何とかなるのではないか」という、希望的観測です。では、実際のところ、管理会社は、この「締め出し」というトラブルに、どこまで対応してくれるのでしょうか。その対応範囲と、限界を、正しく理解しておくことが、いざという時の、スムーズな行動に繋がります。まず、最も理想的なケースとして、管理会社の「営業時間内」であり、かつ、管理人がマンションに「常駐」している場合。この場合は、非常に高い確率で、助けてもらえるでしょう。管理室には、多くの場合、全ての住戸の合鍵(マスターキーや保管キー)が、厳重に保管されています。事情を説明し、身分証明書などで、本人確認ができれば、管理人が、その鍵を使って、あなたの部屋のドアを開けてくれます。この際の手数料は、管理会社によって異なりますが、無料、あるいは、数千円程度の、比較的安価な料金で済むのが一般的です。しかし、問題は、「夜間」や「休日」といった、管理会社の営業時間外に、締め出されてしまった場合です。この場合は、たとえ、マンションの掲示板に、「緊急連絡先」の電話番号が書かれていたとしても、必ずしも、すぐに対応してもらえるとは限りません。この緊急連絡先の多くは、設備異常(火災や水漏れなど)に対応するためのものであり、「個人の鍵の締め出し」は、サービスの対象外、とされているケースが、少なくないのです。電話をかけても、「申し訳ありませんが、個人の鍵のトラブルには対応できません。ご自身で、鍵屋さんを手配してください」と、断られてしまう可能性も、十分にあります。また、たとえ対応してくれたとしても、警備会社のスタッフが、鍵を取りに、遠くの拠点まで行き、そこから駆けつける、といった手順を踏むため、到着までに、数時間かかることも、珍しくありません。管理会社は、万能の救世主ではない。その現実を、私たちは、認識しておく必要があります。