玄関のオートロックは、空き巣などの侵入者を、シャットアウトしてくれる、非常に頼もしい、防犯システムです。しかし、その、内側からも、外側からも、鍵がなければ開けられない、という堅牢さが、火災や、地震といった、緊急災害時には、私たちの命を脅かす、恐ろしい「罠」へと、豹変する危険性があることを、私たちは、常に、意識しておかなければなりません。特に、締め出しと、火災が、最悪の形で結びついた時に、起こりうる悲劇は、想像を絶します。例えば、あなたが、鍵を持たずに、ゴミ出しに出た、ほんの数十秒の間に、部屋の中で、電気のショートなどによる、火災が発生したとします。あなたは、煙と、警報音に気づき、慌てて部屋に戻ろうとしますが、玄関のドアは、オートロックによって、固く閉ざされています。部屋の中には、逃げ遅れた家族や、ペットが、いるかもしれません。あるいは、初期消火をすれば、まだ、間に合うかもしれません。しかし、あなたには、何もすることができません。ただ、燃え盛る自分の部屋を、ドアの外から、なすすべもなく、見つめることしかできないのです。これは、決して、大げさな話ではありません。実際に、こうした、締め出しが原因で、消火活動や、救助活動が、大幅に遅れてしまう、という事例は、後を絶たないのです。では、どうすれば、このリスクを、減らすことができるのでしょうか。一つの対策として、煙感知器や、火災報知器と連動して、自動的に、全ての錠前が「解錠」される、高度な防災システムと、一体化した電気錠を、導入する、という方法があります。また、よりアナログな対策として、玄関の近くの、すぐに取り出せる場所に、ガラスを破るための、ハンマーなどの、非常用脱出ツールを、常備しておく、というのも、有効な備えです。オートロックの、絶対的な安全性を、過信しないこと。そして、常に、最悪の事態を想定し、複数の「避難経路」と「脱出手段」を、意識しておくこと。その、防災への、高い意識こそが、あなたと、あなたの大切な家族の命を、本当の意味で守る、究極の、セキュリティとなるのです。