ゴミ出しや、新聞を取りに行くだけの、ほんの数秒の外出。あるいは、帰宅した家族を、エントランスまで迎えに行った、ほんの少しの時間。そんな、日常の何気ない瞬間に、その悪夢は、突然やってきます。背後で閉まった玄関のドアから聞こえる、「ガチャン」という、無情な施錠音。その瞬間、あなたは、鍵も、スマートフォンも、財布も、全てを部屋の中に置いたまま、完全に締め出されてしまったことに気づくのです。オートロック付きのマンションで暮らす、誰もが一度は想像する、この最悪のシナリオ。パニックに陥りがちな、この絶望的な状況で、最も大切なのは、冷静さを失わず、正しい手順で、解決策を探っていくことです。まず、第一に行うべきは、「外部からの助けを求める」ことです。幸い、同じマンション内に、顔見知りの住人がいれば、事情を話し、インターホンを鳴らしてもらい、まずは建物の中に入りましょう。あるいは、近くのコンビニエンスストアなどで、電話を借り、家族や、恋人、友人に連絡を取り、スペアキーを持ってきてもらう。これが、最も確実で、穏便な解決策です。しかし、頼れる人が、誰もいない場合は、どうすれば良いのでしょうか。その際の、次の選択肢が、「管理会社」への連絡です。マンションのエントランスや、掲示板には、多くの場合、管理会社の連絡先や、夜間・休日のための、緊急連絡先の電話番号が、記載されています。管理会社は、緊急時対応のために、物件の合鍵(マスターキー)を保管している場合があり、駆けつけて、ドアを開けてくれる可能性があります。そして、これらのいずれの手段も使えない、と判断した場合に、初めて「鍵の専門業者(鍵屋)」に、解錠を依頼する、という選択肢が、浮上します。自分で、窓を割ったり、ドアをこじ開けたりしようとすることは、事態を、さらに悪化させるだけです。